牧師メッセージ


2025年3月

狭い門から入りなさい。

「狭い門から入りなさい。滅びに至る門は大きく、その道も広い。そして、そこから入る者は多い。命に通じる門は狭く、その道も細い。そして、それを見いだす者は少ない。」(マタイによる福音書 7:13-14)

 

 

かつて新聞記事で読んだ話です。

 

最近、各航空会社の頭を悩ませているのは航空燃料の値上がりなのだそうです。そこで某大手航空会社は、一機あたり500㎏を目標に燃料のダイエット中なんだとか。そしてそこで着目されたのが機内食の食器です。

 

スプーンとフォークの厚さを0.2㎜薄くし、それによって一本あたり約2グラムの減量をします。ファーストクラスやビジネスクラスでは器の質感を味わってもらうために磁器を用いているそうですが(乗ったことがないからわかりません!)、これについても普通のものより2、3割軽い軽量磁器を導入したのだそうです。

 

なんとも涙ぐましい努力のように思えますが、その「結果」を聴くと涙ぐましい、などとは言えなくなります。こうしたグラム単位の取り組みで1便あたり年間1,000万円、グループ会社全体で約7億円の燃料費節約になるというのです!

 

大手航空会社の年間の支出規模は莫大なものでしょうから、年間7億円はもしかしたらスズメの涙なのかも知れません。しかし、グラム単位の取り組みが年間7億円の結果を生み出す事実は、やはり見過ごせない事実に違いありません。

 

 

たとえば、ダイエットから英語力の学習、掃除用品に至るまで、巷では「即効性」がもてはやされています。それは確かに魅力であり、テレビコマーシャルを見て通販会社に電話注文しよう!と思ったことがある人も少なくないのでないでしょうか。しかし、そんな時代にあっても、ますます「グラム単位の努力が疎かになってはならない」のでは…そう思います。「千里の道も一歩から」、「7億円の節約も0.2㎜から」、忘れずにいたい教訓です。

 

 

牧師 司祭 八 木  正 言